兵器、麻薬、人間、臓器、絶滅危惧種、コピー商品、盗難美術品、産業廃棄物、マネーロンダリング等の具体的な違法取引を調べるのに役立つ良書。
各国があらゆる努力を注いでいるにもかかわらず、これらの違法取引が大規模国際化していて、どこの国の政府も違法取引拡大を防止できていないと著者は主張する。
それは、違法取引業者が明確な共通目標「不正行為で大きな利益をあげる」を持ち、多重化された柔軟な国際ネットワークを駆使して、合法的な取引を隠れ蓑に利用したり、各国政府または公共機関の内部関係者を共犯者にしたりして、犯罪取締りを容易に回避できているからと著者は解説する。
違法取引を減らすためには、(1)巨額な利益が得られるという経済現象が動機になっているので、論理的な非難は無意味で、取引意欲を減退させる仕組みの構築(取引のハイリスクローリターン化)が必要、(2)政府または公共機関の共犯者をなくす政治が必要、(3)違法取引される品物ごとの対応よりも、違法取引での役割に注目した取締り強化、(4)隠れ蓑に利用する合法的な取引も監視する、(5)善良な市民も違法取引に関わることがあるという認識をもつ、(6)一国の政府、警察、軍、情報機関だけではなにもできない、という基本事項を念頭において、政府が現実的な目標を設定して、一般市民に明確な期待をもたせることが重要と著者は結論している。