エラリイ・クイーンの短編集
『犯罪カレンダー』のコンセプトに倣い、黄道
十二星座とギリシャ神話にまつわる謎を名探偵・法月綸太郎が解決して
いくという形式が採られたオーソドックス(あるいはベタ)なミステリ短編集。
本書にはシリーズの前半六編(牡羊座〜乙女座)が収録されているのですが、
パズラーとしての出来映えでは、やはり、雑誌(もしくは夕刊紙)に懸賞付き
犯人当て小説として発表された「ゼウスの息子たち」、「ヒュドラ第十の首」の
二編が抜きんでています(特に、「ゼウスの息子たち」の双子トリックが秀逸)。
星座や神話といった制約のため、ご都合主義的な処理がなされた箇所もある
のですが、収録作品全てに何らかの趣向や読みどころが用意されてもいます。
それに、苦悩から解き放たれた(?)法月綸太郎
の活躍が読めるのは、ファンとしてうれしいところ。
何はともあれ、シリーズ後半の六編全てが執筆
され、一冊にまとめられる日が、待ち遠しいです。
※収録された各短編の内容については「コメント」をご参照下さい。