「名作で読む推理小説史」と銘打たれている如く、日本におけるミステリーの流れに沿って「笑い」を探り当ててゆく試みのアンソロジーです。
従って、山前譲の「解題」も19ページに及び丁寧に時代を追った解説がなされています。ミステリー・ファンにとっては、この解説も貴重です。
作品は、1927年の徳川夢声の「オベタイ・ブルブル事件」に始まり、乾信一郎、水谷準、香住春吾、多岐川恭、天藤真、結城昌治、樹下太郎、小泉喜美子、赤川次郎、阿刀田高、清水義範、若竹七海、米澤穂信の12氏の作品が選ばれています。
もともとユーモアとミステリーは、相容れないものと考えがちですが、これが意外に良い感触の作品になっています。「本格」の好きな人には亜流と揶揄されそうですが、ユーモアと合体した作品は、暖かさというか、人間らしさのようなものが感じられ、心を和ませてくれます。「本格」のようなピリッとした雰囲気ではなく、肩肘張らずに読めるのが良いと思います。