新本格推理と呼ばれるジャンルが出来てから10年以上経ちます。私も4作読みました。全てが叙述トリック物で、しかも全てアンフェアに感じられる物ばかりでした。さて、東野圭吾氏です。文庫の解説に書かれていた、氏と北村薫氏の会話では、氏が本格推理、新本格推理についてのこだわりを持っていないように話していた、とありましたが、「名探偵の掟」を読むと決してそんなことはないことがわかります。特にアンフェアではない叙述トリックというのが、氏が推理小説を書くうえでの大きなテーマであることは明らかです(仮面山荘殺人事件やある閉ざされた雪の・・・など長編でも叙述トリック物は多いと思います)。さて表題作ですが、アンフェアにならない叙述トリックの見本のような作品だと思います。しかも、短編だけによけいに鮮やかです。この作品だけでも買う価値があると思います。(他の作品も良いですが・・・)