そもそも2,300ページの書き物である小説の原作を、たった2時間に凝縮したと考えれば、元々小説を原作にした映画というものは無理がある、と言えるだろう。
しかし、映画は原作を元にして作られても、所詮手法が全く異なる手段なんだから、「これくらいの作品を2時間の映画に収めるのは無理がある」という言い方は成り立たない。
そうであれば、2時間で読める程度の短編なら映画でにできるとでもいうのだろうか。
原作本がよくできていればいるほど、原作者が固定フアンを持っていればいるほど、これを元にして作られる映画、舞台、などは酷評される。
しかし評すべきは、原作との対比ではなく、その作品自身の映画としてで気だろう。
本作は、よくできた作品だが、少し主題的に欲張ったか。
誘拐殺人犯の捜査と、その裏側の警察官僚の内部的な抗争。
その両方の踏み込みが、今ひとつ足らなかった。どちらも、豊川悦司の役者としての魅力で何とかしたという感じ。
キャリア官僚の横暴は、これまでなかなか邦画では取り上げられることはなかった題材だ。それこそ小説では、警察組織内の、キャリアvsノンキャリの対立構造は、しばしば取り上げられるようになったのに、映画では珍しい。
一方メインのストーリーとしての子供の誘拐は、おまけのその子供を殺してしまうんだから、いつも後味が悪く、好きではない。しかしその点は、かなり観客をどきどきさせながら、うまくまとめた気がする。
以上、二つのなかなか難しい題材を、テンポよくまとめ、十分鑑賞できる作品になっていると思う。いずれにしても、豊川の豊川らしさが出て、よかったと思う。