08年〜10年にかけてAERAに連載された記事を加筆した(一部削除したところもある)のが本書です。
“管理センターで殺処分される犬の25%は、業者が持ち込んだ犬だ。”
今年1月に出版されたフリーペーパー「ワン・ブランド」で、太田記者はこう言っています。
太田記者が本書でも主張しているように、流通システムを変えない限り、犬は殺され続けます。
それでは流通システムはどのように変えられるべきなのでしょう?
【高評価できる点】
各自治体へのアンケート調査によって、初めて「犬種ごとの殺処分数」が明らかにされました。
保健所に飼い主が犬を持ち込む理由も、はっきりと数値化されました。
また、これまで闇に包まれていた犬のオークション(競り市)の実相も見えてきました。
これらがデータ化できたのは、朝日のブランド力の賜物といえますが、
太田記者の執念なくしては成し得なかったことです。
ここまでなら、★5つです。
【低評価せざるを得ない点】
本書の中では、イオンの子会社のペットショップが、管理センターに持ち込まれた犬を引き出して、
ショップ店頭で“里親募集”をしていることを無批判に紹介しています。
このような行為は肯定されるべきものではありません。
なぜなら、その隣では幼齢犬が展示販売されてるから。
この子犬たちは、生後40日以前で親元から引き離され、競りにかけられて、このショップに来た子犬です。
こうした商売は、ペットビジネスに「動物愛護」を巧妙に利用しているという批判を免れることはできないはずです。
このような行為をもし是とするなら、“ずる賢い偽善商法”に免罪符を与えてしまうことになるのではないでしょうか。
この点に対して、マイナス☆3つ。
太田氏自身も書いているように、早すぎる親兄弟との別れは、後の社会化を困難にするのです。
結局は、ネグレクトを生んだり、飼育放棄へとつながりやすくなるのです。
とはいうものの、犬の流通システムはどう変わるべきか、
本書が、そのことを真摯に考えるひとつの材料を提供したことは間違いありません。
これでプラス★1つ。
ということで、総合評価は★3つ。
*殺されていく犬を減らしたいと願っている人へ。
日本の犬ビジネスの問題点と解決策について、行動学や生態学の視点を踏まえて、より深く考え、行動することが求められています。
先頃、光文社新書から出版された『
犬は「しつけ」でバカになる―動物行動学・認知科学から考える 』(堀明)は、必読の一冊かと思います。
また、ドイツの犬事情を報告した『
ドイツの犬はなぜ吠えない? 』(福田直子)も、参考書になることでしょう。
本書と併読されることで、視野が広がると思います。