丁寧な文章でした。兄弟での共作ということでしたが、そうとは思えないほどまとまっていました。
しかしおもしろいかどうかは別。
一言で言ってしまうと「ありがち」。ストーリー展開も登場人物もまったく突き抜けたものがありません。
また全体を通して一貫したテーマが明確に伝わってこないため、読書後に何の感動も沸きません。
犬が謎の肉を掘り起こすというのも興味深い題材ですが、結局はそれを活かせていない。
作者は最近の若い世代の作品を多く読んでいるのでしょう、どこかすさんでいて虚しい空気が作品全体を取り巻いています。
それはそれでいいのですが、どうにも既存の作品をつぎはぎして作られたように思えます。
筆力か想像力、どちらかを養わないことには今後の作品に期待することはできません。
正直、この作品を文藝賞とするのは選考委員にも問題があるように思います。
文藝賞の価値を高く保つためにも、また作者のためにも、話題性に振り回されることなく選考していただきたく思います。