全体としてとても分かりやすい表現で、イヌをめぐる様々な問題について
著者自身の観察を織り交ぜながら、科学的根拠に基づいて解説してある。
イヌについて特別な知識がなくても十分に理解できる内容となっている。
本書でも指摘されているように、旧来から当然のように行なわれている条件付け学習理論によるしつけは
betterなものなのだろうか。
たとえば、ほめてフードでしつける「ポジィティヴ・トレーニング」を繰り返すことが、
はたして本当にイヌに負担のないやさしいしつけ方なのか、改めて考えさせられる。
飼い主の立場から言えば、イヌはできるだけ伸び伸びと育ててやりたい。
一般的なトレーナーやしつけインストラクターから見ると危険思想とさえいえる著者の論理展開。
また、日本の犬の流通の問題点をえぐり出している。業界関係者にとっては耳の痛い話だ。
反発がすさまじいことは予想できる。
イヌとはどんな動物か、その行動や心理をきちんと体系立てて知りたいものである。
それに比して、しつけのハウツー本ばかりが書店の売り場を埋め尽くしている状況には、
閉口している。
その意味でも問題提起を示した本なのではないかと思う。
一般的なしつけ本には書かれていない「犬とどう付き合うかのヒント」
も随所にちりばめられている。
この本が書評でどう書かれるかに注目したい。