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犬の記憶 (河出文庫)
 
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犬の記憶 (河出文庫) [文庫]

森山 大道
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

世界的な評価をえる写真家が、自らの記憶と軌跡を辿りながら、撮影の秘密を明らかにする幻の名著、待望の文庫化。絶妙な文章で描かれる六○〜七○年代の“闇”への誘い。写真多数収録。写真ファン必携。

内容(「BOOK」データベースより)

「いったん逃げた風景のかずかずは、僕の内部でもうひとつの風景となってある日とつぜん立ち現われてくる。それは、まったく時空を超えた視覚のなかと脈絡を絶った意識のなかに、ふと再生されてくるのである」。写真は現在と記憶とが交差する時点に生ずる思考と衝動によるもの、という作者の、自伝的写真論。巻末に横尾忠則による森山大道論を付す。

登録情報

  • 文庫: 283ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2001/05)
  • ISBN-10: 4309474144
  • ISBN-13: 978-4309474144
  • 発売日: 2001/05
  • 商品の寸法: 15 x 10.4 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By redhit
形式:文庫
近頃、「土門拳」の『死ぬことと生きること』を読んだ後に、この『犬の記憶』を読むことになった。時代や世代が異なるとは言え、直接の視覚体験を文章に変換する写真家の文章には、文筆家や作家の文章とは異なる清潔感みたいなものを感じる。
『犬の記憶』は一貫して都市風景のスナップを撮り続ける、写真家森山大道の自伝的エッセイ。1982年から83年に『アサヒカメラ』に連載された原稿や写真に、加筆して「朝日新聞社」より『犬の記憶』と題して出版された著作を文庫本化したものである。登場する思い出や写真は60年代後半から70初頭。10・21国際反戦デーの新宿や、ベトナム戦争当時のヨコスカ、まだまだ東京のいたるところに存在していた場末の風景をとらえた写真とともに、風景を撮ることで<記憶>を蘇らせようと街を徘徊する森山の心情をつづったエッセイ集だ。森山の求める<記憶>とは、個人の<記憶>とともに、個人をカタチづくる<メタ記憶>と言ったもので、時代や社会の中で形成される自我意識とでも呼べるものだ。だからこの著作は、いつも「どこかで見た風景」や「記憶の底にある景色」を求めて、「それを見ている自分を探す」旅のように、終わりなく続いてる印象を持った。ロードムービーのようなロードフォトの書。反語的な表現ながら、森山がケルアックの「路上」から引用するように、「青年の旅」の意味をセンチメンタルな感傷に納めず、問い続けようとする、清潔な60年代文学作品なのかもしれない。
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20 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
記憶 2002/12/23
形式:文庫
アサヒカメラに同名の写真エッセイとして連載されたものだけれど、記憶を焼き付けて行くことの葛藤が痛いほどよくわかる。ケルアックの『路上にて』に触発されて旅に出て写された写真はまさに点景ではなく線景。パッと見ればどこがいいんだかさっぱりわからん何気ない写真たちが、ボク自身の記憶に引火したような気がする。

 同時に『終章 犬の記憶』も買ったけれど、いまは怖くて読めないです。

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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By イッパツマン トップ500レビュアー
形式:文庫
 自伝と写真論エッセイに日本各地で撮影された風景写真が添えられた、フォト・エッセイの名著。各地を旅して撮影しながら自身の半生を語った企画なので、「ここではないどこか」「自分自身と周囲に対する違和感」で情感がパンパンな若い読者にとっては、ロード・ムービーに対して抱くような共感が湧く本だろう。だが、実は本書のツボはそういう若い読み方とは外れたところにある。

 例えば、本書あとがきで語られる「光=記憶=写真=歴史=自己」(p.266)という連関図式にあるように、何かセンチメンタルな郷愁をある写真から感じたとしても、それは眼前の写真を見て都度立ち上がってくる感興であり、そういう意味では現在における自己の内面の投影を写真に対して行っているに過ぎない。森山氏自身が繰り返し本書で語るように、このような写真の表象作用においては、実際はセンチメンタルな感情というのは過去ではなく、現在の自己から生まれているものである。(そして、これは美学/認識論的には極めて正統的な意見である。)

 さて、実家の都合で幼少期に日本を転々とした森山氏自身は、自分は故郷の記憶を持たないと語っている。だが、本書に掲載される日本各地での思い出エピソードと写真は、確かに「その時」森山氏が各地をセンチメンタルに眺めていたことを示している。連載・刊行当時、既に40代半ばだった森山氏が過去過ごした風景に帰って抱いたセンチメンタリズムは、現在アラフォーの僕には共感できるものだった。それは転々と移動しながらも「生きてきた」という思い出自体が過去を懐かしむセンチメンタリズムの対象になる、ある一定の年齢以上の人間にだけ許された感情のように思う。これを人は「郷愁」という。故郷喪失者にも「郷愁」は生まれるのだ。年を取るということは、悪いことばかりではない。
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