アメリカとメキシコを結ぶ長距離通路が摘発されたのも、
メキシコで神父が麻薬取引絡みで、射殺されたのも、
1994年暮れにメキシコの大統領候補が暗殺されたのも、
同時期にメキシコのペソの切り下げが突然行われ、
中南米の通貨危機が懸念されたのも、
CIAが共産ゲリラ阻止のために、中南米に
せっせと武器を供給していたのも、これ全部事実。
しかし、それらを紡いで、これほどのクライム・ノベルを
読ませてもらえるとは。
裏切りに次ぐ裏切り。味方は実は偽りの味方。
誰が誰の為に働いているのか?正義も悪もない。
みんな悪か?
ここに登場した主人公たちは皆、手駒の一つとして
どこに向えば良いのかも判らず自分の属するサイドを
右に左に変えながら銃を片手に疾走し続ける。
そしてリアルな戦闘、処刑、殺しの描写。
いったい何百人この下巻だけで殺された事か...
物語を彩った主人公たちが、一人減り、二人減り
最後に本当の地獄絵図が待ち構える。(本の帯の口上に
偽りなし!)
最後の数ページになっても最後の最後に生き残る人間が
見えず、興奮するわ。
ティワナ、サンディエゴの突き抜ける晴天の下の
血みどろの殺し合いを想像してくれ。
やっぱり、現状<ミレニアム>より<犬の力>を推します。
[LA コンフィデンシャル]を超えたかもしれん。
次回作<フランキーマシーンの冬>早めにお願いします。