著者のもとに、一人の老婦人が訪ねてきて
「動物たちの命の大切さを伝える映画を作ってほしい。」
と訴えたことがきっかけで、ドキュメンタリー映画が製作された。
老婦人は私財を投げ打っての、自分自身の残り少ない命を託した懇願だった。
著者は映画のために、あらゆる命の現場を訪れた。
神奈川県動物愛護協会を皮きりに、千葉・神戸の行政施設、犬捨て山、ニュースに取り上げられた犬の譲渡会場、東京・多摩川河川敷、獣医師、動物愛護先進国・イギリスetc
ニュースやドキュメンタリー番組で、行政施設の状況を何度か目にした事があるが、そこで行われる「処分」「処分機」の仕組み等も克明に書かれている。
猫はあまりにも数が多いために、翌日処分される運命にあり、犬、猫に譲渡先が決まって第二の人生を送る事ができるのはわずかという辛い現実。
行政施設で働いている職員さん達の苦悩も、はかりしれない。
また著者は、去勢・避妊手術の現場にも立ち会っている。
猫の避妊手術の際、お腹から取り出されて大きくなった子宮の中には、麻酔が効かずに動いている子猫もいたという。
外国人のマルコさんが、
「日本の犬には生まれたくない。日本人は、やたらに動物を捨てる人種。そのうち親が子供に捨てられる。」
という言葉が胸に響く。
イギリスでは野良猫がいない、ペットショップの厳しい規制があり、犬・猫は、店頭ではほとんど売られていないそうだ。
小さな命の重みと、人間の業の深さを考えさせられた良書だった。