以前、近所の施設を見学させて下さいと訪ねた時、職員は譲渡用犬と慰霊碑以外、処分室は勿論、管理棟にすら近づかせてくれなかった。
「議員とくれば見せなしゃぁない。」と回答されたが、同行する議員がおらず、未だ見学できていない。
本書の舞台を愛媛にしたのはなぜだろうか?
最も先進的取り組みを行うのは熊本市で、処分機は2年以上稼動しておらず、伸生が新居浜の保健所で行っていたように、1匹ずつ麻酔薬等での安楽死を行っている。
場合によっては、持ち込んだ飼い主に犬を抱えさせたまま、獣医師が薬剤を注射し、その腕の中で殺すこともあるという。
これを担保するのが、所長の「本来、市の窓口は市民に嫌な思いをさせてはいけないのですが、犬を捨てに来た人には、嫌な思いをしてもらおうと決めました。窓口では時には声を荒げてでも説得し、翻意してもらおうと考えたのです。」との姿勢と、後ろ盾になる本庁の市民への対応だ。
福岡県のように持ち込み費用を取るのは、職員も対応し易かろうが、身勝手な飼い主とはいえ市民を怒鳴りつけ犬を連れ帰らせれば、必ず苦情は出る。
そこにどれぐらい腹を括って命の大切さを守るかに、自治体は苦慮しているんではないか?
類書を何冊か既読だが、その点を書いた本には辿り着いておらず、本書も同じで残念だったが、子ども向けであると考えれば、命にページを割く方がより重要であろうと減点しなかった。
愛媛では殺し助ける双方の側面がありつつも、殺処分工程の全てや職員の苦悩を本書で詳しく説明し、愛護という本来の意味への機能回復を図っている。
熊本での取り組みには、行政だけでなく獣医師会、ボランティア団体、ペットショップ等取扱業者らが、熊本市動物愛護推進協議会を結成し、精力的に活動している。
さて、あなたの自治体はどうだろうか?
あなたが捨てないだけでなく、捨てさせない仕組み作りに読者も取り組まねばならない。