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私が最初に興味を引かれたのは,本書の第2話「ネアンデルタール人はなぜ滅びたのか」(29-38頁)でした。
本書を読むに先立って,私は,2012年1月29日(日)の午後9時から45分間放映されたNHKスペシャル「ヒューマン なぜ人間になれたのか 第2集 グレートジャーニーの果てに」を見ていました。
その放送では,人類と同等の頭脳を持ち,人類よりも「屈強な体を持ち,狩りの名手だったネアンデルタール人との間で,人類の祖先たちは生存競争を強いられた。身体的に圧倒的な不利な状況を優位に導いたのが,投擲具という人類最古の飛び道具だ。離れた位置から獲物を倒す技術が狩猟方法を革新し,ネアンデルタール人を駆逐していく。」というように,ネアンデルタール人と人類との生存競争の勝敗を決したのは,「飛び道具」だったとの解説がなされていました(
NHKスペシャル取材班『ヒューマン なぜヒトは人間になれたのか』角川書店(2012)141-142頁)。
しかし,本書は,それだけでなく,ネアンデルタール人が滅びたのは,人類がイヌを味方につけたからだとしています。
その理由については,遺伝子構造のメカニズムを含めて本書に詳しい説明がありますので,それを読んでいただくほかありませんが,イヌを味方につけた人類は,「絶えず警戒する必要がなくなったため,ゆっくりと眠ることができ,健康状態も知的能力も向上した」(34頁)という下りは,説得力があります。
もっとも,28話(犬と一緒に寝るときの心得)では,イヌとベッドを一緒にしたために,かえって睡眠を妨げられ,注意力の減退によって死を招くおそれがあるとの話も紹介されていますので,注意が必要です(284−287頁)。
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本書では,イヌは,人間に危険を警告し,危害から守ってくれるという考え方がすべての物語の背景に貫かれています。
第3話では,エジプトの「呪われた王子」がイヌの吠え声,鋭い聴覚と嗅覚とに救われますし,第4話では,聖人の病気をイヌが癒しています。
イヌが犯罪捜査に使われていること(8話)や,災害救助で大活躍すること(20話)はよく知られていますが,最近では,イヌとの生活がアレルギー症状を予防したり(26話),心の病を癒したり(27話),がんを発見するのにも役立っていることが紹介されています(29話)。
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このように,本書には,大人にとっても,感動的で楽しめる話が満載です。特に,一人暮らしの人や,「婚活」にいそしむ人には,11話(冗談が好きな犬たち),特に,30話(命を超えた絆)がお薦めです。
そればかりでなく,本書は,楽しい物語と科学的な説明とがうまく解け合うように構成されているので,こどもたちに本書を読み聞かせてあげると,きっと大喜びしてもらえると思います。
たとえば,「ちょっと怖い話」をしてほしいというときは,3話(ファラオに愛された犬たち),22話(犬の親権を争う人びと),25話(戦場の犬たち)がお薦めですし,「ロマンチックな話をして欲しい」というときには,14話(何にもまさる犬の愛情),21話(仏陀の犬)がお薦めです。
そのほかに,科学的知識に裏づけられた,ためになるお話が目白押しです。本書を子どもたちの求めに応じて,読み聞かせてあげると,気に入ったお話は何度でもアンコールが入るので,半年くらいは,話のネタに困ることがないと思います。
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心暖まる,しかも,科学的知識に裏づけられた話のネタを探している人に薦めたい本です。
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