特許翻訳(和訳)の入門者に適した書籍。
また、記号やIPC番号が説明されている後半部分に注目すれば参照用のハンドブックとして一定の価値はあると言えそうだが、
実際にこれらを参照する必要に迫られるケースはそれほど多くないのではないかという気もする。
本書の前半では、入門者向けに明細書の見出しとその役割、その中に頻出する定型文の訳出例などが記載されている。
分量的にはそれほど多くなく、経験のある人から見れば実に簡単な説明にも見えるが、
このぐらい無駄なくコンパクトにまとまっていれば入門者としては非常に取っ付きやすいのではないかと思われる。
また、レイアウトを始めとした体裁についても説明があるので、チェッカーのハンドブックとしても有用である。
訳にしても体裁にしても本書にあるのは代表例に過ぎず、基本的には
仲介する翻訳会社や特許事務所が指定するスタイルを優先することになるわけだが、
特に指定されない部分がある場合、そこについてはよりリスクの少なく
かつ効果的な方針を採用するという点で訳者の腕の見せ所となる。
したがって、参考書籍や実務を通じた蓄積からいずれは自分が理想と考える標準スタイルも確立していかなければならない。
自分のスタイルが確立する以前の段階にある人は、本書の記載をとりあえずの基準にし、
そこから試行錯誤を繰り返すことで効率よく実力を伸ばしていけるのではないかという気がする。
資料部分は長く使えそうだが、それでも少々割高な印象がある。
2000円以内には抑えてほしかった。
初版は2007年だが、これを書いている2009年現在では明細書の見出しの一部が変更されていたり、
意匠権の存続期間が20年に延長されていたりと、初版からはいくつか改訂が必要な箇所が出てきている。
それらの確認を行った上で購入を検討するようにしたい。