“フェスト事件”で争われたのは米国の特許市場を支えてきた異端の法理「均等論」である。均等論は特許発明にわずかな変更を加えて侵害を逃れようとする競争者に対し、特許権者の権利行使を認めるもの。特許権者に手厚い保護を与える半面、特許権の効力を暴力的なまでに高め、身に覚えのない侵害の罪を第三者に科し、特許制度の秩序と信頼を崩壊させるものと問題になってきた。最高裁の判決により、一度は「死刑宣告」を受けた均等論は生き延びた。一方で最高裁は均等論に依拠しようとする特許権者に立証義務を課すなど新ルールを示し、均等論を特許制度の秩序内に組み込んだ。
フェスト事件の全容と判決の詳細を紹介するとともに、米国の特許制度の特異性や過熱する特許紛争の内幕についても解説を加える。
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まさにわが国もプロパテント政策を強力に推し進めなければならない現在、これからの方向を考えている技術経営に携わる人にとっても良い参考書になると思われる。
しかし、学生やビジネスマンのための米国特許法の入門書としては、本書は最適である。米国の特許法、特に均等論という特殊な題材が、簡明に、非常に分かりやすく記述されている。
こうした本書の長所との兼ね合いで、本書が法律論文というよりは一般向け書物であることは承知の上で、あえて苦言を呈させていただく。
1997 年以前の判例についてはサイテーション(citation; 搭載判例集の名前、巻数、該当頁の記載)がないのは残念である。サイテーションがしっかりしていれば、本書の資料的・教科書的価値もより高まったであろう。米国では、サイテーションについて厳格なルールがあり、これを逸脱するものはまともな法律論文とはみなされない。本書では、1997 年以前の判例については、すべてたった 1 冊の英文の文献のみが引用されている。これだと、筆者は判例の原典には当たっておらず、この文献から間接的にこれら判例を知ったに過ぎないのではないかという疑いさえ生じる。しかし、法律論文では、引用する判例は全て原典に当たることが原則であり、どうしても原典が入手できないで読んでいない判例については、未読と表示するのがルールである。
ウェブサイトからの引用についても、サイテーションとして URL のみが記載されているが、サイトの内容は頻繁に更新されるため、いつの時点でのウェブサイトを引用しているのかを明記すべきであろう。
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