SFマガジンで紹介されていたので、読んでみようと思い探していたのですが、ようやく手に入れたので読みました。ですが、期待したほどおもしろい作品ではありませんでした。残念です。
特異領域理論が発見され、従来の物理法則を書きかえることができるようになった、特異点(シンギュラリティ)以後の世界。その実験で、世界のほとんどの大陸と50億の人口が失われ、特異領域理論を発見した科学者のいる日本が世界の中心になっている。
そんな時代、特異領域理論を教える唯一の教育機関、世界国家第1大学で学ぶ大学生たち。そんな彼らの前に、行方不明だった特異領域理論の発見者の一人、天川理璃が現れる。だが、そんな天川を追う軍隊の影が。。。否応なく、世界を揺るがす陰謀に巻き込まれていく主人公たち。と、こういう設定です。
また、他律型人工知能は意識を持てるかとか、生体コンピュータ・ネットワークとか、対消滅とか、色々と魅力的なガジェットが登場します。
ただ、最初からかなり読むのがしんどかったです。まず、キャラが全然共感できないし、またキャラ同士のやり取りも安っぽいアニメみたいで、本筋のストーリーとあんまりマッチしていない。
また、特異領域理論を身に着けることで、通常の物理法則を越えたマテリアルロウという能力(?)を使うことができるようになり、これによって攻撃や防御ができるようになるのですが、若干科学的説明があるものの、ほとんどそれは魔術と変わりありません。たしかに、発展した科学は魔術と変わらないとアーサー・C・クラークは言っているのですが。。。いずれにせよ、この作品は特異点といったSF的用語を使っていますが、一種のファンタジー作品と見た方がいいのでは?と思ったりしました。
ちなみに、(技術的)特異点という考え方は、数学者でSF作家でもあるヴァーナー・ヴィンジが唱えたものです。特異点とは、意識を持った人工知能や、それによって強化された人間が生まれる段階を指す言葉で、技術進歩の臨界点に当たるとされています。したがって、その特異点段階を越える技術が生まれた時点で、世界は全く新しい領域に到達し、現在の科学技術では全く予想もつかないことが起こるとされています。