表紙に見えるのは菩薩様の表情にも似た特攻隊員。
彼らは死ぬことで、国に奉公するのではない。自分の信ずる者のために生を諦め、夢を託す。
潜水艦が敵の駆逐艦に補足されて、猛烈な爆雷攻撃を受けながらも、艦長は艦の乗員を守る方法を探り、回天乗組員は出撃を願い出る。
この艦長の「馬鹿者が」と言うセリフが無性に悲しい。
この星に生まれてきて、このような最期をなぜ彼らに選ばせてしまったのだろう?
そう、思ってらっしゃるようにも思えた。この人の表情は、「ブラックジャックによろしく」移植編で、年配の医師が未来を見つめて移植を支持する時の顔に似ていた。
そんな感慨を読むだけで浮かんでくる。作者は一度も、人物に言わせてもいないのにである。
戦争を始めた指導者たちは、威勢の良さ、成り行きで、ろくに未来を切り開く努力もしなかった。そのために、多くの人々が傷つき、死んでいった。
そのなかにおいて、せめて彼らが自分の意志をもっていたと信じたい。 読むべき本である。