尊敬する人を事故で失い、彼は特攻を志願。許された休暇で故郷に戻る。
そこにいるのは、生まれを誇示して人を揶揄する卑しい人。
彼らはいかなる時でも、うまく生きようとする俗人だ。銃後であっても彼の生きるところでもないが。
彼をこの世に送り出した母は、息子の変貌に驚く。、。
母は、息子を一番よく知り、彼が法悦の、死人の表情を浮かべるのに恐れおののく。
こんな、理不尽がまかりとうる戦前の世界なら消えてなくなれ! そう思った。
先の戦争に英雄はいない。 哀れな、運命に弄ばれた人々が、互いに他人をも巻き込もうとする。
この本が重いのは、私たちが戦争の時代にいつまでたっても負い目を負い、結論を出さないからだろう。
人の理性が軽んじられている時代を描く本。読みにくいのだが、読んでしまう。期待を裏切らない佐藤秀峰のペンに慄くばかりだ。