著者は、昭和20年4月17日、2人の部下とともに銀河に乗り、たった1機で特攻出撃をし、みごと敵空母に突入するも、一人だけ生き残ったという体験を持つ方である。
特攻には志願しながらも、突入の瞬間まで続くことになる生死の懊悩だけでなく、特攻出撃に対する疑念、国家の行く末、戦死していった同期生や戦友への思い、恋人への思いなど、様々な思いが入り乱れて描かれ、著者ご自身、当時の苦しみが再来している中でこの本を執筆されたのだろうと思わせる文が続く。そのため、正直少し読みにくいと感じた部分があるのだが、このあたり、もう少し編集者の努力があっても良かったのかもしれない。
圧巻は、残り3分の一くらいから、いよいよ出撃を迎えるというところからの記述である。出撃の朝の模様から、結果的にたった1機での出撃、日本本土との別れ、敵戦闘機群の猛攻をかいくぐり、敵艦船からの艦砲射撃を受けながら見事突入。その間の、機内での3人の会話なども描かれ、想像や創作ではない特攻隊員の最後をうかがい知ることができる。
著者は、一人だけ生き残ってしまったこと、死に切れず俘虜の辱めを受けたことなどが、いまだに心の傷となってご自分を責めておられるようであるが、このような体験を記録し、世に出していただいたことに感謝したい。