特捜神話の終焉 郷原信郎 飛鳥新社 2010
元検事と元被告を経験した3人との対談
国策捜査という言葉を一般化した佐藤優さん、ライブドア事件の堀江さん、そ して個人的にはまったくしらなかったキャッツ事件で190日拘留された公認会計士の細野さん。
郷原さん自身は現在、ヤメ検なのだが検察とはまったく関係を持たずコンプライアンス関連の仕事(大学教授や講演等)をされている。
検察内部を知り尽くした人間と、検事らと長期間にわたり対峙した経験をもつ上記3人。
この3人の共通点はまず、自らが完全無罪だという確信を持っていることである。無罪という自信である。特に佐藤さんの場合には、すでに多くの著作がベストセラーになっているからご存じの方も多いと思うが、1年以上も拘留され、 その意思を示された。最終的には最高裁での上告棄却で有罪判決となるが多くの人たちは彼の実質無罪を肌で感じているだろう。細野さんの場合も対談の後 直ぐに上告棄却で執行猶予の有罪が確定した。
現在堀江さんは最高裁に上告中である。
3人の方々が感じているのは、初めにストーリーありきの逮捕だということだろう。筋書きが最初に作られ、その筋書き通りに犯罪者が出来上がっていく物語である。
検事という権力者はすべての法律を知っているように多くの人々は思うだろう、しかし昨今の経済犯罪という文脈においてはその基本的文法すら理解して いなり検事が少なからずいるようだ。
元被告の3人の現在の活躍を見ていると、ある意味、まだ日本の自由度は担保されているとは思うが、郷原さんが対談を終えて、のところで書かれている他の案件や人知れず 埋もれている裁判なんかで人生を台無しにしている方もいるのだろうか。権力という人間が作り出した枠組みは時に暴走するという事をすべての人は知って おくべきなのだろうと思った一冊である。 そして郷原さんは指摘する、検察は権力の側にあるのでなく公益の代表であるべきだと。