一流企業の大湊商事を一身上の都合で退社した吉岡陶子は、元同僚の三村誠の紹介で、バイク便ユーサービスのハンドキャリー担当として入社することになる。
ハンドキャリーとは名前の通り、いかなるルートを用いても最短で荷物を運ぶ仕事のことだ。都内の運搬はバイク便が担当するため、彼女が担当するのは国内の長距離便。新幹線や飛行機、そして最後は陸上の中距離で培った脚を駆使して、お客さまへ荷物を届けるのだ。
そんな彼女の同僚は、社長で配車担当の如月紘一郎に、バイク便担当の如月沙織と菅野亮也、そして広報部長の大谷真治ことオカメインコの大谷さんだ。
一癖も二癖もある同僚たちを相手に、負けん気と意地でハンドキャリーをこなす陶子は、突然ある特殊能力に目覚めてしまう。想いのこもった荷物の場合、その荷物が届きたい先に瞬間移動してしまうのだ。
なぜそんな能力に目覚めてしまったのか。その事実は物語が進むにつれて明らかになってくる。前半の方で気づくかも知れない描写不足も、実は後半に向けての伏線だということも分かってくる。ちょっと突飛な設定さえ気にしなければ、荷物にこめられた物語は面白いと思う。
ただ、社会人としてどうなのかなという言動と、著名な作曲家であるベドルジハ・スメタナの名前を間違えているところはいただけない。特に後者は編集・校正の問題だと思うのだが、教養を問われそう。