新聞紙面を飾るあるべき理想論と、新聞社自らの行動基準は一致しない
ことが如実に表れています。面白さを遥かに上回る強い不信感を覚えました。
著者は、毎日新聞社在籍時代、国から払い下げられる国有地を確保した上で、
その場所に大阪本社の新社屋を建設すると同時に、その資金を得るためにに
旧大阪本社の跡地を高値で売却するというミッションを命じられたそうです。
本書は、著者がそれを遂行する過程で体験した、官僚トップとのやりとり、大手
損保の暗闘、更に毎日OB故・安倍晋太郎氏や、故・竹下登氏との総裁選にか
らんで動いた5億円の行方など政財官界を巻き込んだ舞台裏が語られます。
自社は清廉潔白を装い、自己責任、銀行業界の護送船団方式反対、債務超
過の会社は潰れるべきという文字を紙面に躍らせた新聞社には、これら自ら
の裏工作を、単行本ではなく、是非とも紙面に掲載してほしかったものです。
最も残念なのは、本書には、読者のためにという視点が皆無だったことです。
読者にとって何が救われたか、本書にはこの答えはありません。残念です。