フランス革命については、昔から興味があり、何冊か著名な本も読んだことがある。しかし、人物の対立関係などが、わかりずらく、何かすっきりと理解できない不満を常に感じていた。特に、革命の発端となったルイ16世の行動の意図や、革命体制側の内部分裂にいたる経緯などが、いまひとつわかりづらいと感じていた。
この本は、ルイ16世を従来の無能な国王という観点ではなく、挫折した啓蒙主義君主として捕らえる観点で説明している。この説明により、今まで理解に苦しんでいたルイ16世の行動と、これに伴うフランス革命の流れをきわめてはっきりと理解することができた。また、本書は革命体制側の内部分裂にいたる経緯についても、要領を得た形で説明をしてくれている。
新書でありながら、非常にうまく歴史の流れをコンパクトにまとめており、その一方では、あまり知られていない裏話的な興味ある話題を語ってくれている。例えば死刑執行人サンソンが、ルイ16世を尊敬しており、40年にわたって贖罪を続けたことなどが述べられている。
コンパクトかつ、興味ある話題をちりばめているため、フランス革命について初めての本を探している方にも、すでに別の本をもたれている方の双方に進められる、良書となっている。分量は多くないが、記述も平易であり、非常によく出来たレベルの高い新書本である。
なお、別レビューにおいて「歴史の暗黒面について述べられていない」というコメントがあるが、この指摘は的外れであると思う。原著者の前書きにおいて「その暗黒面もしっかり見据えておく必要がある」と記述しており、ギロチン台に上った人々の実態など、革命の暗黒面に関わる内容についても、十分記載されている。「民主主義やフランス革命の暗黒面が前面にでていない」という指摘であれば、この指摘は確かに事実としては正しいが、これらの内容は本書の主テーマではなく、まとはずれな批判と思う。
この本を手がかりにフランス革命に興味を持つ人が増えてくれれば、と個人的には考える。