山岳国家という特殊性もあるが、ローマ人の征服、ゲルマン人の侵入とフランク王国の成立、「神聖ローマ帝国」とハプスブルク家の台頭、宗教改革、三十年戦争とウェストファリア体制の確立(事実上のスイスの独立)、フランス革命とナポレオン戦争、ドイツとイタリア統一とビスマルク体制、第一次世界大戦、ナチス・ドイツの台頭、そして戦後の欧州連合実現の流れと、次々と嵐のように変化する欧州の枠組みのなかで、スイスの人たちはその時代の状況と周辺勢力との絶妙なバランス感覚で臨み、独立国家を発展させた。変遷する欧州の枠組みを台風にたとえるならば、スイスは言わば「台風の目」といったところであろう。スイスの孤高は欧州の激動と決して無関係ではない。そういう意味で「スイス」から欧州全体と将来を見る視座もあり得よう。そのスイスもついに国連加盟。欧州の孤高国は、世界の孤高国である道を選ばなかった。今後の国際貢献も注目されるスイス理解のために役立つ本。