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物語 ウクライナの歴史―ヨーロッパ最後の大国 (中公新書)
 
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物語 ウクライナの歴史―ヨーロッパ最後の大国 (中公新書) [新書]

黒川 祐次
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ロシア帝国やソヴィエト連邦のもとで長く忍従を強いられながらも、独自の文化を失わず、有為の人材を輩出し続けたウクライナ。不撓不屈のアイデンティティは、どのように育まれてきたのか。スキタイの興亡、キエフ・ルーシ公国の隆盛、コサックの活躍から、一九九一年の新生ウクライナ誕生まで、この地をめぐる歴史を俯瞰。人口五〇〇〇万を数え、ロシアに次ぎヨーロッパ第二の広い国土を持つ、知られざる「大国」の素顔に迫る。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

黒川 祐次
1944年(昭和19年)、愛知県に生まれる。東京大学教養学部卒業。外務省入省後、在モントリオール総領事、駐ウクライナ大使・駐モルドバ大使(兼務)、衆議院外務調査室長などを経て、現在、駐コートジボワール大使、駐ベナン・ブルキナファソ・ニジェール・トーゴー大使(兼任)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 268ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2002/08)
  • ISBN-10: 4121016556
  • ISBN-13: 978-4121016553
  • 発売日: 2002/08
  • 商品の寸法: 17.2 x 11 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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形式:新書
 ウクライナなる国、日本人にとってお世辞にも馴染み深いとは言えません。小生も、麦がたくさんとれる穀倉地帯としてのイメージしか持っていませんでした。国や民族の歩みについても、恥ずかしながら、ロシア人の亜流か何かでソ連崩壊のドサクサで分派したくらいの認識でした。しかしながら、著者によれば、ウクライナは独自の文化、長い伝統、そして国運隆昌の記憶に恵まれた大きな存在だということです。目からウロコという感じです。

 さて、本書は、中公新書の物語各国史シリーズの一冊であり、著者はウクライナ大使を務めた外交官です。役人の書く文章というものは味も素っ気もないというイメージがありますが、外務省の皆さんは例外なのでしょうか、本書の語り口は明瞭にして平易、ウクライナの「ウ」の字くらいしか知らない小生でも、比較的楽しく読みすすめることができました。

 内容的には、スキタイの昔から筆を起し、この土地を舞台とした民族と人々の歩みを概観しています。キエフ大公国の栄光、リトアニアやポーランドとの確執、コサックたちの独立不羈の危害と運命のペレヤスラフ条約、長くて過酷な異民族支配と戦争・内乱の悲劇、そして350年ぶりの独立回復など。

 こうした歩みを概観してみると、そもそもウクライナは誰もが食指を伸ばしたがる豊饒の大地であり、人口的にも資源的にも、東欧において抜きがたい存在感を発揮してきたことが分かります。他方、それまでの大国的資質を備えながら、自らが一方の雄として立つことができず、近隣諸民族によって翻弄され続けてきたのは一体何故なのかと慨嘆せずにはいられません。国家の主権と独立を全うする上で一番大切なものは何か。そんな堅苦しいことを考えさせられる一冊でした。
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19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
この本だけ見れば、一体なぜウクライナに親ロシアのヤヌコーヴィチ政権が成立したのか、反ロシア派のユシチェンコがなぜ惨敗したのか、ヤヌコーヴィチとの決選投票に臨んだ女傑ユリヤ・ティモシェンコがなぜ単純な反ロシア派ではないのか、その辺が完全に分からなくなるだろう。

「ウクライナ」という概念・民族がいつ始まったのか、歴史上の地理的範囲はどこまでを指すのか、そうした問題意識がまるで無い事は、現代の歴史書とは思えない。ただただ、現代のウクライナの領土範囲であるというだけで対象が選定されている。こうした事は、著者黒川が歴史学者ではなく、外交官であり、現代政治のものの見方を投影する傾向が強い事に由来するのかもしれないが、それにしてもあまりなレベルの低さに愕然とする。問題はウクライナにとどまらず、ベラルーシ、ロシアも同様であるが、この地域のアイデンティティは未だに複雑に交錯しており、そう単純ではない。

大体、第四章「コサックの栄光と挫折」では、コサックがウクライナ人としてのアイデンティティを持っていたか未だに議論の対象になっているのだが、そのことが見事に捨象されている。

また、ウクライナ・ナショナリズムを強調する人々は、東部のコサックと、ウクライナ西部(ハールィチ:ガリツィア)とを同一のアイデンティティのもとに置きたがる傾向があり、本書でもそれは全く疑問視されずに踏襲されているが、「正教をカトリックから擁護」する大義を自認したコサックと、ユニエイト(東方典礼カトリック)が優勢であったウクライナ西部とのアイデンティティを、どのように無理なく融合出来るのか?

現代のウクライナ国家を成立させている史観が多分に無茶な歴史認識の下で成り立っている事に、意図してか無意識にか、黒川は全く触れていない。

また、ロシアが一方的にウクライナを虐げていたかのような本書の書き方であるが、ピョートル大帝のもとでウクライナ人が西欧化の担い手として重用されていた事実をどう捉えるのであろうか。ピョートル大帝時代は、ロシア正教会の高位聖職者の過半数がウクライナ人だった(127人中70人)。宗教規定を策定したF.プロコポーヴィチもウクライナ人だった。(「ウクライナ人」の定義がここでまた問題になるが、ここでは一先ず措く)。

ロシア人の中には「ロマノフ朝に取り入ったウクライナ人によってロシア正教会は西欧化され、本来の伝統を失った」とする人間も居るほどである。

一方、本書では西欧:ポーランドからの侵略には異様に甘いのだが、リトアニア・ポーランド王国ではウクライナ人は冷遇され、教会もローマカトリックに編入されていった。果たしてロマノフ・ロシアと、ヤゲヴォ・ポーランドのいずれがウクライナ人にとって真の敵だったのか?こうした視点は一切本書には表れず、ただただ親西欧偏重の記述が続く。

一部ウクライナ人がどのようなナショナリズムを持とうと構わないが、日本人が視点を一面的にする必要は無い。現役時代にウクライナの情勢分析が正当になされていたのか、著者黒川の外交官としての資質にも大きな疑問符がつく内容と言わざるを得ない。

本書を読めば、ウクライナの歴史のみならず、現代ウクライナの政治経済が全く分からなくなるだけである。
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形式:新書
肥沃な黒土の穀倉地帯、旧ソ連で最大の重工業地帯と恵まれた環境にあったが故に、逆になかなか独立国家を確立できなかったウクライナ。こうして見てみると、ウクライナという地域で起こった数々の事件のヨーロッパ史における重要性を再認識できると同時に、ウクライナの歴史はロシア・ソ連の歴史そのものであったと確信させられます。著者の方は現役大使の方で、文章も平易で記述のバランスがよく気軽に安心して一気に読めますし、新書の特性を生かした好企画だと思います。ウクライナに関心ある方、旅行を予定してる方、ちょっとでもロシアに興味のある方にも、一読をお奨めしたい一冊です。
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