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物語上野動物園の歴史 (中公新書)
 
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物語上野動物園の歴史 (中公新書) [新書]

小宮 輝之
5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

明治五年、湯島の展覧場にオオサンショウウオなどが展示されて以来、140年の歴史を持つ上野動物園。明治期には、ニホンオオカミやトキが飼われ、徳川慶喜がナポレオン三世からもらったウマも暮らしていた。戦中には猛獣殺害という悲劇もあったが、いまでは飼育種数では世界有数の動物園に育ち、教育・環境保全などでも重要な役割を担っている。園長自身が激動の歴史を、代表的な動物たちのエピソードとともに案内する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

小宮 輝之
1947年、東京日本橋で生まれ、神田で育つ。明治大学農学部卒業。1972年、多摩動物公園の飼育係になり、クマ、イノシシ、キツネなど日本産動物とヤギ、ロバなどの家畜の飼育係を務める。上野動物園、井の頭自然文化園の飼育係長から、多摩、上野の飼育課長を経て、2004年から上野動物園園長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 292ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2010/6/25)
  • ISBN-10: 4121020634
  • ISBN-13: 978-4121020635
  • 発売日: 2010/6/25
  • 商品の寸法: 17.4 x 11 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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By 革命人士 トップ500レビュアー
形式:新書
今まで世界史メーンだった同新書の「物語〜歴史」シリーズでかなり異色な本とも言える。日本のしかも近現代にスポットを当てているのと、他書が研究者であるのが、本書は上野動物園の現園長という点だ。エピソードや飼育方式の変遷など、当事者でなければ知ることが難しい話が多く、書くべき人によって書かれた感がある。余り知られていない宮内省機関だった時代と、戦後復興における飼育技術の急速な向上について大きくページが割かれる一方、多くの人が知る、戦中の猛獣殺処分やパンダフィーバーは5、6ページで終わる。多くの人が知るから敢えて本書で…ということか。前半では、国内で捕まえたサンショウウオやヒグマ、ニホンオオカミなど最初期の展示物が、ゾウ、ライオン、キリンなど動物園の大本命に変わっていく様子が描かれている。

本書でもう一つ異色なのは、写真の多さ。数ページ毎に動物の写真が掲載されている。当たり前ではあるが、草食動物の昔も今も変わらないぼけーっとした雰囲気がいい。欲を言えばカラーの方が見栄えはするが、ないよりは全然いい。

本書は上野動物園の歴史であるとともに、日本最古の動物園、かつナショナルセンター的な役割を果たした同園が受け入れる動物の試行錯誤の飼育を通じ、日本の動物展示、飼育方法の歴史も読み取れる。珍奇な動物を見て驚くという娯楽から、種の保存、冬眠など野生環境に近い飼育、行動展示など試行錯誤は今も続いている。著者の記述からは、原点の日本の在来種(土着の家畜は入手が容易どころか絶滅危機にある)飼育や「見て驚く」という最初期の動物園へ回帰しようという考えのようで、飼育される動物は変われど、動物への愛は変わらず、と感じた。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 放蕩息子 VINE™ メンバー
形式:新書
前半5章は上野動物園の百年史。後半2章は、野生動物減少など、様々な社会環境変化の中でそれまでの「娯楽施設としての動物園」からの脱却を求められるようになった現在の上野動物園の実践と挑戦とが語られている。

動物園関係者でもなく、上野にも特別な思い入れのない私には、正直、前半はさほど面白くはなかったが、後半、動物園に対して「域外保全」はもちろん、「域内保全」への貢献までが求められるようになった背景を理解するためには、前半の娯楽施設としての長い歴史との比較が有効だ。つまり動物園の役割変化とは、人間社会と野生動物との関係の変化に他ならないからである。

著者が書くように、上野動物園がこれからも真の「国民的動物園」として存続しようとするのであれば、今後の上野動物園が背負うべき使命の一つは、他でもない、動物園自身が自覚したこの社会的役割の変化を、今度は動物園から社会全体へと、積極的に発信・啓蒙していくことだろう。北海道の旭山動物園は“行動展示”で大人気だが、正直、その本来の導入意図(=単なる娯楽を超えた、飼育動物の野生性へのリスペクト)が、どれだけ理解されているかは疑わしい。むしろ多くのマスコミ報道を通じて、旭山動物園の“行動展示”は既に単に、「動物園の新しいアトラクションの一つ」として、消費されてしまおうとしているのではないか。

この現状を打ち破って「動物園=娯楽以上の場所」であることを高らかに示すべきは、やはり日本においては上野動物園以外にはない。著者はあとがきで、
>私は動物オタクであり、動物園オタクである。
と書き、さらに、
>還暦を過ぎ、本性を隠すのも億劫になり、堂々と「我輩は動物コレクターである」と宣言したくなった。
と告白しているが(笑)、それだからこそいっそう、これからも引き続き、動物園の新しい役割の発信に力を入れていただきたいと思う。

なお、21世紀にあるべき動物園の姿をより深く考えたい向きには、文春文庫『動物園にできること』をお奨めする。本書と併せて読むと良いだろう。
このレビューは参考になりましたか?
By 杉山
形式:新書
著者は「私は動物オタクであり、動物園オタクである。」、「還暦を過ぎ、本性を隠すのも億劫になり、堂々と「我輩は動物コレクターである」と宣言したくなった。 」と後書きの中に書き記している。この2つは矛盾している。少なくとも現在の動物園は「コレクション」を見せる場ではなく、博物館であり、何かを伝える教育施設であるはずである。コレクターだと宣言しながら、動物園オタクは、一見動物に魅了され尽くしているということを表現したいように受け取れるが、根本的には理念として相反するものである。著者はそうした矛盾点に自ら気付くことなく、ある意味素直に時代から遊離した動物園づくりを、恩賜上野動物園長という日本の動物園界で言えば権威の象徴のような立場で楽しんでいるのだろう。いろいろと現在恩賜上野動物園は改修が進められてきている。しかし、究極的に何を目指しているのかは、そこからは伝わってこない。時代の中で、目先を変えるような展示にしているだけに過ぎないように感じる。

ツキノワグマの展示を、それ自体は面白いものではあるが、クマの生活環境を良くしてあげるものと捉えるのは無理がある。クマの寝たいという要求を満足させてあげているいるのではなく、著者が冬眠させたかったに過ぎない。管理ではなく、展示を優先させているだけである。こうしたことの中にはもちろん多少の動物に対するメリットはあるものもあるであろうが、とどのつまりは人間中心主義に全く疑問を持たずに進めていることであり、その行為は「動物オタク」のものと呼ぶにはふさわしいが「動物園オタク」のそれではない。日本の動物園は、基本恩賜上野動物園をモデルとしている。そのモデルの長たる立場の人がこの程度で満足しさも先を歩いているかのような自己認識で留まっていることが、日本の動物園の発展が足踏み状態にあることを許しているのであろう。そのことが本書を最後まで読み切ることによって、よく分かる。

そいういうものとして読めば、それだけの内容は十分にある。
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