モンタネッリの本書は邦訳されるのが遅きに過ぎた感がある。
中央公論社から『ローマの歴史』や『ルネサンスの歴史』が刊行された当時に、この『ギリシア人の歴史』も翻訳されるべきだったであろう。
1959年の原書を半世紀以上を経た今日ようやく日本語で読めるのは喜ばしい限りだが、幾分「時代遅れな記述」も見いだされるからだ。
また訳者あとがきには、『
西洋古典学事典』に「大いに助けられた」と書かれているにも拘わらず、『
西洋古典学事典』を調べれば間違いようのないミスも犯している。
例えば、4〜5ページの「パルシファエ」とか(校正ミスか?)、118ページの「ステシラオスという同じ少女」(ギリシア語を少しなりとも学んだ人ならば「ステシラオス」が男性名だと分かる筈)、265ページのアルキビアデスは「性倒錯者」という誤訳(これは当然ながらイタリア語原文が正しい)、等々。
したが、それでもなお本書はたいそう興味深く娯しみながら読める古代ギリシア史物語である事実には変わりないと云えよう。
気楽に古代ギリシアの歴史を読んでみたいという方々には、お薦めしたい一冊である。