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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「物語」としての「歴史」の復権,
By 佳少爺 "Jia-(shao)-ye" (東京都目黒区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 物語イタリアの歴史―解体から統一まで (中公新書) (新書)
中公新書「物語各国史」、イタリアの巻は西ローマ帝国の崩壊からカブールによる統一に至るまで、この国の1500年に及ぶ歩みを対象としています。皇帝フェデリーコ(フリードリッヒ2世)やコジモ・デ・メディチ、さらにはカサノーヴァなど、イタリア史の各時代を彩った著名人士10名を登場させ、かれらの生涯を通じて時代時代のパースペクティブを説き明かそうとしています。語り口は極めて平易であり、扱われている事案・事件の類もメジャーなものばかりですが、政治・経済・社会・文化の各分野を総合的な「ヴィジョン」として鳥瞰していく手法は見事というほかなく、久しぶりに歴史読書の楽しさを堪能できました。 筆者によれば、もともとイタリア語では「歴史=物語」なのだそうです。しかるに昨今、歴史学はイデオロギーとミクロの実証主義が専横を極め、ストーリー性は影を潜めざるを得ない有様です。そうした中、本書は、いわば歴史の原点たるべき「過去の時間を物語によって秩序づけ、それを未来に向けて語り継ごうとした長い伝統」への回帰に向けた「手探りの試行」として、見事成功を収めたものと言えましょうか。 歴史の楽しさを実感できるという観点から、特に若い人たちにおススメしたい一冊です。
8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
読みやすい物語,
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レビュー対象商品: 物語イタリアの歴史―解体から統一まで (中公新書) (新書)
1933年生まれのグラムシ研究者が1991年に刊行した、330頁にわたるイタリア史の列伝風通史。著者が「物語としての歴史」(!)の復権のために試行錯誤し、しかも国民史という枠組みに批判的であること(各国史は「一つの便法」にすぎず、国民国家形成は歴史の目的ではない)は、「あとがき」から判明する。そのため本書では、中近世=国内分裂期のイタリア史が対象となり、5世紀前半ラヴェンナのローマ皇女ガラ・プラキディアの生涯を通じてゲルマン民族の大移動に伴う西ローマ帝国の解体が、11世紀後半カノッサの女伯マティルデの生涯を通じて叙任権闘争が、1200年前後アッシージの聖者フランチェスコの生涯を通じてカトリック教会の再編強化が、13世紀前半パレルモの「近代人」神聖ローマ皇帝フェデリーコ2世の生涯を通じて十字軍時代が、14世紀ナポリの作家ジョヴァンニ・ボッカチオの生涯を通じてペストを始めとする14世紀の危機が、15世紀フィレンツェの銀行家コジモ・デ・メディチの生涯を通じて都市国家間の対立とメディチ家支配が、15〜16世紀ローマの彫刻家ミケランジェロ・ブオナルローティの生涯を通じてルネサンスが、17〜18世紀トリーノのサヴォイア公・サルデーニャ国王ヴィットリオ・アメデーオ二世の生涯を通じて絶対主義集権国家の建設が、18世紀ヴェネツィアの天才色魔にしてボヘミアの司書ジャコモ・カサノーヴァの生涯を通じてナポレオン戦争によるヴェネツィア共和国の終焉が、19世紀ミラノの作曲家ジュゼッペ・ヴェルディの生涯を通じてイタリアの統一が、物語られる。6〜10世紀の空白、図表の不備、時期設定の是非に加えて、社会背景の説明にも気になる点があるが、地域・階層の多様性に留意した読みやすい本である。巻末に年表付き。
10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
心なごみ心ふるわす歴史夜話,
By
レビュー対象商品: 物語イタリアの歴史―解体から統一まで (中公新書) (新書)
中公新書・物語~の歴史シリーズでは「北欧」「バルト三国」「ラテン・アメリカ」と読んできたが、本書「イタリアー解体から統一まで」が 一番読み応えがあった。編年体の歴史叙述ではなく、10人の著名人の 事績を描きながら、各々の時代背景をうかびあがらせている。一種の 歴史夜話のスタイルで、そのへんに読みやすさや面白さが感じられる原 因があろう。 ここに扱われている10人は、アッシジの聖フランチェスコ、美術家ミ ケランジェロ、作曲家ヴェルディといった周知の人物から、皇女ガラ・ プラキディア、女伯マティルデ、サルディニア王ヴィットリオ・アメデ ーオといった我が国では知名度の低い、ややマニアック(?)な人物 までが著者の生き生きした筆致により、血の通った存在として現れてくる。 またマティルデや皇帝フェデリーコの物語では、中世ヨーロッパを呪縛し た皇帝権力と教皇権力との葛藤の歴史がうかがえる。コジモ・ディ・メデ ィチとミケランジェロの章はイタリア・ルネサンス期の歴史背景を巧みに 織り込んで、本書のクライマックスを形成しているといってよい。 とにかくイタリアという古代ローマ以来ヨーロッパの重心として大きな影 響力を世界に及ぼした国の華麗にして複雑な歴史に私たち極東の民を招き 入れてくれる好著として皆さんにおすすめできる。
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