A5判のソフトカバーに行間狭めて一ページ当たりの文字数増量=厚くなるのを回避して
出来る限り価格を抑える…という姿勢は評価出来ます。
コンテンツツーリズム(ざっくり書けばロケ地や物語の舞台を巡る旅。所謂「聖地巡礼」の
こと)を知らない人向けに、かなり丁寧な注釈もつけています。
類書が無い中、コンテンツツーリズムの始まり(メディアが仕掛けた)、各地の取り
組み紹介、そしてメディアによる「或るイメージの伝播(サザンオールスターズの楽曲を
例にしている)」と、盛りだくさんな内容です。
しかし、多くの部分が「○○を行った」レベルで終わっているのが勿体ないのです。
換言すれば「仕掛ける」方の意図は分かっても、仕掛けられる方=足を運ぶ人達の意図
には、あまり迫れていないのです(各種資料から数字を人っている箇所もあるが、結局
著者の論は裏付けに欠けるところが多い。特に後半)。
題名の通り「コンテンツツーリズムとは何か?」に迫るのなら、足を運ぶ人=お客の
視点も欠かせないと思うのです。そこに迫れてないので(特に『らき☆すた』なら先行
研究もある)満足度としては薄いのです。
後、第11章「吉田修一を歩く」は完全に著者の趣味としか思えず(小説からの引用多し)。
それと誤植が多いです。ここまで誤植の多い本もなかなかありません。