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物語の哲学 (岩波現代文庫)
 
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物語の哲学 (岩波現代文庫) [文庫]

野家 啓一
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

起源と目的をもつ「大文字の歴史」が終焉した後、歴史はいかにして可能かを問う。柳田国男の口承論、解釈学、ナラトロジー、科学史における歴史叙述などの成果を踏まえて物語り行為による歴史を追求し、小さな物語のネットワークとしての歴史の可能性を考察する。単行本を増補し、物語り論的歴史哲学を深化させた新編集版。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

野家 啓一
1949年生まれ。東北大学理学部物理学科卒業。東京大学大学院科学史・科学基礎論博士過程中退。東北大学文学部教授。専攻は科学哲学、言語哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 374ページ
  • 出版社: 岩波書店; 増補版 (2005/2/16)
  • ISBN-10: 4006001398
  • ISBN-13: 978-4006001391
  • 発売日: 2005/2/16
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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26 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 純丘曜彰 教授博士 VINE™ メンバー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
 おいおい、ほんとうにこの本を読んでの書評なのか。著者は科学哲学者ということになっているが、すくなくともこの本は、科学哲学については書かれていない。あくまで歴史哲学の話だけだ。ローティの言語論的転回については、当時、不勉強で知らなかった、と、あとがきに自分で書いている。

 文体は重厚ながら、内容は、残念ながら、かなりおそまつ。メディアが意識を規定する、などという話は、まさにマクルーハンのテーゼ。この問題は、当時、というより、60年代から70年代にかけて、社会学の方で世界中でさんざんに論議されていた。にもかかわらず、この本に出てくるのは、日本の東大の哲学科の同年代のお友達のお名前ばかり。マクルーハンのマの字も出てこない。どこかでマクルーハンの話は聞いたが、本は読んでいないので、自分のオリジナルアイディアだと勘違いしてしまったのだろう。著者はともかく、当時の岩波がよくもこんなの雑誌に掲載していたものだと思う。岩波の編集者は、みすずは読まんのか。まして、当時、すでに日本でも文芸諸学科ではよく知られるようになっていたナラトロジーなどもフォローしていない。あまりに不勉強だ。そのうえ、「受容美学」の名を出したりしているが、これもヤウスやイーザーとは、かなりずれている。肝心の歴史学に関しても、アナール学派の、記述に頼らない新しい手法は視野に入っていない。すでに、これまたみすずで翻訳さえ出ていたはずだが。

 いくら雑誌論文の寄せ集めとはいえ、80年代、90年代の日本の学問、とくに哲学がいかに国内蛸壺であったかを見せつけるような本だ。語学的な能力に問題のある団塊世代が、どうして日本の大学を閉塞に追いやったか、なぜ多くの院生が海外に出て行きたがったか、それこそ歴史的に、語らずして示している。こんなのを読むくらいなら、翻訳でいいから、きちんとまず『グーテンベルグの銀河系』こそを読もう。

 
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35 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Bibliothekar トップ1000レビュアー
形式:文庫
著者の専門は科学哲学を中心に分析哲学や大陸系の現象学など広範囲である。哲学においても物語り行為は重要な役割を担う。かのカントの純理にしろ、フッセルのヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学にしろ、ハイデガーの名著存在と時間にしろ、著者が自ら訳し親炙したローティの哲学と自然の鏡にしろ、哲学書の論理的展開を支える強力な物語的構成力なくしては古典的な著作たりえない。たとえばアインシュタインの特殊相対性理論のシンプルな公式表現ですら、物語的ですらある。
 そこで著者第1章を「人間は物語る動物」である、と始める。本書は単著で刊行されたさいには柳田國男と歴史の発見という副題が付けられていたが、著者の意図は物語論一般にあり、現代文庫版では削除されている。つまり、原初的な口承文学を含めて歴史叙述との類似性などを精緻に分析、理論化することが目的である。したがって、所謂文学理論的な著作とは異なり、哲学的あるいはメタ理論的な概念を敷衍して議論を展開している。理論的な流れの中で注目に値するのは、リチャード・ローティが集大成した20世紀前半の哲学革命言語論的転回が、実は歴史学においても1990年代に波及したという指摘を踏まえて、前版を補正してなったのが本版だという。物語理論は、なにも文学が独占する領域ではない。哲学的視点による知の総合理論としての物語論と読むべき著作の誕生である。
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12 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 著者は科学哲学者である。その問題意識は、「論証と実験を通じて、客観的かつ合理
的に、より真理に近づくという科学の常識的イメージを打ち壊す」ことにあるという。
そこで著者は「科学のナラトロジー」を構想し、その内実を示すために、次のような章
立てをする。いずれの見出しも、抑制的な物言いの中に、問題提起的な著者の姿勢が感
じられるものとなっている:

  序 「歴史の終焉」と物語の復権
  第1章 「物語る」ということ
  第2章 物語と歴史のあいだ
  第3章 物語としての歴史
  第4章 物語の意味論のために
  第5章 物語と科学のあいだ
  第6章 時は流れない、それは積み重なる
  第7章 物語り行為による世界制作

 物語の観点から見れば、科学テクストと文学テクストと哲学テクストのあいだは境なく
連続している。“近代の知”に対抗するこうした見方を、著者はクワイン(W. V. O. Quine,
1908-2000)を引き合いに論じるのだが(第5章)、そんな予感を見出しからにじませる。

 90年代に入って日本にも紹介されるようになった、新しい認知理論である「アフォーダ
ンス」論では、わたしたちの身のまわりに潜む意味を発見するために、「動くこと」を強
調するのに対して、本書は「物語ること」を強調する。ようするに、同書によれば、われ
われが「歴史」や「世界」や「現実」と呼ぶものは、物語を媒介に構成された「解釈」だ
とされる。

 だから、それらをあたらしくするには、新しい解釈、すなわち「新しい物語り」が必要
になるはずなのだが、現代においては、人間の「物語る」能力は著しく衰退している、と
いうのが著者の見方である。

 とはいえ、われわれ人間は、「諸々の出来事を一定のコンテクストの中に再配置し、さ
らにそれらを時系列にしたがって再配列することによって、ようやく『歴史』や『世界』
について語りはじめることができる」「物語る動物」(p.16)であり続けてきた、との本書
の指摘にしたがえば、既成の世界イメージを異化する新しい物語の語り部は、科学界、文
学界、哲学界のいずれからも出現しうることを、本書は暗示している。
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