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47 人中、42人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
新しい世代の距離感,
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レビュー対象商品: 物乞う仏陀 (単行本)
東南アジアからインドまで、貧困の最下層といえる「物乞いをする障害者」のルポです。それぞれの障害の特徴から厳しい貧困、戦争の傷跡、マフィア達の犯罪など、グロテスクな事実を次々と記していくものの、文体はいたって簡潔で無理に感傷的にはなりません。 事実を知ろうとする欲求は本書の随所に表れますが、その事実を独自の見解や主張へ発展させることには極めて禁欲的です。その姿勢には好感を持ちました。 つまり、この種のルポで安直な「アジアの過酷な現実を知らない平和な日本人」論が、現場に行き現実を見た者を特権的な立場にまつりあげてしまう危険性をよく自覚しているように思えます。 そんなところが77年生まれ、政治やイデオロギーから一歩距離を置くことができる世代の魅力なのだと思います。 タイトルや内容も含めて、辺見庸の『もの食う人びと』と比較されるかもしれませんが、各国の厳しい現実から逆に日本を照射しようとする意識はやや違うと感じます。本書は、「日本人は世界の現実を知ってほしい」といった正義感の発露ではないでしょう。 ただ、著者は興味をもって調べていく中で、直面する事実に何度も立ち止まり、悲しみ、同時に哀れみや正義感では解決され得ない構造に悩む。ただそれだけです。 そして、時に熱くなるものの、最終的に変えることのできない「日本人の旅行者」としての立場を忘れない、精神の強さ、新しい世代の距離感を感じます。
21 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
「貧困・無教育」がもたらす無限ループ,
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レビュー対象商品: 物乞う仏陀 (単行本)
登場人物に悲壮感がないのは、それぞれの国民性なのか、当事者故の強さなのか。それとも、無知であるが故か。内容は読者に何か働きかけようというような感じは決してないのだが、現実を知らせるということで、問題としての意識を促すこともできるかも知れないと感じられる。 全体的な話の流れから受ける個人的な印象として、差別という精神的構造からくる社会的立場は、結局のところ、他のアジア各国だろうが、日本だろうが生活レベルこそ違えど、障害者が末端にいるという事実はかわりがないようだ。 イデオロギーやメンタリティとは別な著者の単純な興味からはじまったこの旅のレポートは、アジアの障害者たちの過酷な現実に直面するたびに、怒り悲しみ、同時に同情や正義感では解決されない、「貧困・無教育」がもたらす無限ループに立ち尽くす...ただそれだけの姿が淡々と語られている。 ノンフィクションとしての客観性を失っている部分も否めないが、いい意味でも悪い意味でもとても血の通った人間味を持っている一冊である。
37 人中、32人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
虚構を砕け,
By 緑川力パ工ル (大日本帝国) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 物乞う仏陀 (単行本)
「貧しさ・無教育からもたらされる。醜いアジア」が描かれる。もちろん、弱く貧しい人の側に寄り添って、感謝されつつ一生を送った修道女、産婆、祈祷師も出ては来るが。本書に一切の挿絵はない。文章だけで「もうやめてくれ」と叫びたくなるような描写だからだ。そして。それらは事実だからだ。 土曜夕方や日曜朝の子ども向け番組で描かれる「戦い」では、生きるか死ぬかの2つのみ。中途半端に破れ、巻き添えにされ、眼球や手足を失った者がどう生きていくかは描かれない。 綺麗事を言っても、「障害者は家計を圧迫する」という事実は、特に貧しい地域では絶対の事実だ。 映画の題材で使われるマフィアに幻想を抱くな。印度のマフィアはさらった子どもの手足を切り、目を潰し、雇い乞食として哀れみを買わせる。
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