ヴェルギリウス。言わずと知れた古代ローマの大詩人。この人の詩を読むのは「アエネイアス」以来である。この本の巻末に付されている解説によれば、こんなに素晴らしい詩を作れるにも関わらずヴェルギリウスという人ははにかみ屋だったらしい。オーストリアの文豪グリルパルツェルも気の小さいシャイな人だったらしいが、偉大な文学者の中にもそういう内気な性格の人がいたというのは意外で、「ああ、すごい作品書いてるけど、同じ人間なんだ〜」と身近に感じられて、ちょっと嬉しい。
さて、そもそもヴェル様とは、ヴィクトール・ユゴーの作品に引用されていた「月の沈黙を味方にして」という詩文を読んだのが出会いの最初だったのだが、ぱっと読んだその瞬間、「うわなんだこれ、この一文だけでごはん3杯はいける」と感動したのをはっきり覚えている。ちょっと表現が卑近に過ぎるが・・。
「農耕詩」、「牧歌」についてはダンテやぺトラルカなどルネサンス期の詩人、また私の恩師も言及していたので気になっていて、いつか読むぞと機会を窺っていた。今回ようやく読むことができて、やはりヴェルギリウスはいいなと感動を新たにした。詩文の美しさもさることながら、ローマという帝国主義の国、時代に生きていながら、土と共に生きる農民たち−民衆という人たちの生活を美しく讃え、彼らこそが真の幸福を知っているのだと歌う詩人の人生観に胸を打たれる。個人的には「アエネイアス」よりもこちらが好きなくらいである。
時代や文化の違いが大きいので、慣れないと読みづらい感じはあるが、それでも読めば「読んでよかった!」と思える本だと思う。「アエネイアス」よりずっと短いので、ヴェルギリウスを読みたいけど「アエネイアス」は長いなあ・・という方は、こちらから読んでもいいかも知れない。