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本書は、こけおどしとは無縁の良書である。原著は1983年で、20年にわたって読み継がれている。それだけの価値がある本と言える。
本書が攻撃しているのは主に「成分無調整の牛乳」や「消毒していない牛乳」、とりわけ「乳児に牛乳を与えること」であって、乳製品は全部悪い、と言ってるわけではない。例えば乳糖不耐症には「ヨーグルトにして乳糖を分解すればOK」等、解決策も提示されている。とてもフェアな態度だ。もっと読まれていい本だし、乳業メーカーこそ本書を読んで、解決策を製品で示すべきだろう。
私はいま禁煙の治療!中なのだが、ある意味、禁煙は禁牛乳より楽だ。タバコ製品はタバコという形でしか製品化されていないからである。牛乳はビスケットやクリームソースやパンにまで入っているから、完全な禁牛乳は楽じゃない。伝統的な中華料理には牛乳は使われないはずなのに、いまやコースに必ず杏仁豆腐が入っているほどだ! 戦後半世紀かけて乳業を振興してきた日本国は、食生活のすみずみにまで危険な乳糖や乳脂肪を浸透させてしまった。しかも乳脂肪は美味い。私はこれを断つことができるかどうか、不安だ。
だが、禁牛乳は実験してみる価値があると思う。とくに乳糖不耐症はすぐに成果が出るからである。
本書は実用書であると同時に、「牛乳は健康によい」という洗脳思想への、ごく控えめな反論でもある。問題は牛乳!それ自体にあるのではなく、無根拠な洗脳思想にある。本書が面白かった人は、ここを出発点に経済学・政治学・疫学・人類学など様々な方向へ読書の可能性が広がるだろう。それだけポテンシャルが高い本でもある。
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