東京から北海道に移住した絵描きとその妻。二人は田舎には場違いとも思える知的で優雅な隣家の農場主夫婦と出会い、徐々に常識という殻を破り始める。
第1部ではその生活が妻からの視点で、そして第2部では夫からの視点で、ことの成り行きが描かれる。それは同じ出来事でも、二人がかなり違う印象で語る二つの話となっており、なかなか興味深く、風変わりな感はある。しかしそれはまた冗長すぎる感もある。
本書の紹介には「ホラーミステリー」とあった。しかしどの部分がホラーでどの部分がミステリーといえるのか?どちらも中途半端としか感じられなかった。「謎」は最後まで茫洋とし、怖いところは何もなく、二つの夫婦のインモラルというか、それともこれがまさに本書のテーマである「狼的」なのか、性的関係だけが、細かく描かれた印象がある。