私は小林めぐみ作品を読むのはこれが初めてである。
なので、癖のある文体(表現法と言ったほうが正しいかもしれない)がなかなかきつく感じ、15ページほどで一度挫折しかけた。
何が辛いのかといえば、常体と敬体が一人称の地の文で入り乱れていて調子が狂ってしまうのだ。また、たびたび使われる語尾一文字をカタカナにする手法(「ですヨ」など)も、何かラノベにサザエさんが迷い込んだようで違和感がある。
一迅社文庫の小説を読むのはこれで(「
黒水村」「
死神のキョウ」に続き)三作目なのだが、何故このレーベルの小説は文章表現にツッコミを入れたくなる作品ばかりなのだろうと読みながら頭を抱えてしまった。
ただ、慣れてくると案外気にならなくなるもので、中盤からは素直に読めるようになり、最終話で全貌がわかる構想など、ラストはなかなかのものだと感じた。それだけにのめりこめなかった序盤が残念である。
連作であるこの短編集では、他の話で張られた伏線が最終話で解決して丸くおさまる、という構成がとられている。しかし序盤、第2話と第3話はこの伏線がない、つまり本筋から外れた話なので、慣れていない身には余計に辛いものだったのだ。
加えて、全体的に見て説明台詞が非常に多いのも気になるところだ。
・・・と、いろいろ文句をつけてはみたが、少なくとも前掲の2作と比べればだいぶ質は高く、既読の一迅社文庫の小説の中では暫定ベスト・ワンである、とは最後に言っておこうと思う。