榊原さんの或る週刊誌での書評に触発されて、とうとう読むことになりました。もっとも著者の名前自体は、NaxosのシリーズHashimoto: Symphony No. 1 in D; Heavenly Maiden and Fishermanでのreviewで知っていましたが。読後感はというと、この種の書評を集めた作品のレヴューは難しいにつきます。まずテーマが多岐にわたっています。またオリジナルの作品のスペースはかなり限られています。というわけで、どこに着目してこのような作品を読むのかは受け手の立場と関心に大きく左右されます。榊原さんのレヴュー自体も、そういう意味ではかなり独特の角度(政治と音楽の間の緊張)からのコメントでしたわ。私が興味深く読んだのは、「森繁節」「東京人やから」「無思想の帝国」「ドイツもユダヤも本当はないんだよ」等です。歴史の偽造に貢献した「日本の戦後の研究者」たちというグロテスクな三流の知性の存在を音楽史の領域にも再発見した「無思想の帝国」は、美術界「戦争と美術1937‐1945」にも共通する大きなテーマを扱っています。そう「問題はこの国にある」のです。ところで、音楽関係の本ってこんなに出ているんですか。それも半分以上が翻訳本ですよ。いったい誰がこんな特殊なテーマの本をそれも翻訳で読むんだ?謎ですわ。おそらくそこにも日本でのクラシック音楽の受容に関わる重要なテーマがあります。