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40 人中、36人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
「戦争に英雄はいない」。監督のメッセージに共感。,
By ゲバジジ (神奈川県川崎市) - レビューをすべて見る
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クリント・イーストウッド監督はなぜ「硫黄島」という映画の制作を思い立ったのであろうか。おそらく、9・11NYテロとその後の「テロとの戦争」が大きな動機になったのではないかと推測される。正義の戦い、愛国心がアメリカを覆い、テロの戦争に誰も異議を唱えにくい環境の中でアメリカはアフガニスタン、イラクとの戦争に突入した。そうした空気、風潮に対するひとつの異議申し立て、そんな気がする。悪と正義に2分したものの考え方に対する抵抗感、正義の戦争なんてない、戦争に英雄はいない、そんな監督のメッセージが静かに伝わってくる。映画は硫黄島の戦闘よりその後の話に重点が置かれている。普通の兵士だった3人が英雄として戦争遂行のために国によって利用される。国家というものはそういうものなのかもしれない。原作者はその兵士の一人ブラッドレーの息子だが、父親は戦後この戦争についてはなにも語らなかった、という。映画は戦争とその後が複雑に構成されており、感情移入が難しい面もあったが、監督の意図はしっかりと伝わってきた。最後に「我々は祖国のために闘いはしたが、国のために死んだのではない。戦友のために死んだのだ」という言葉が強く心に響いた。祖国を愛するということは国家を愛するということではなく、家族や友人、そして、自然や風土を愛することなのだと思う。「愛国心」とはそういものだと思いたいし、そういう感情、気持ちは国から教わるものではなく、自然に醸成されるものだと信じている。正義を声高に叫ぶものには常に警戒しなければいけない、見た後、そんな思いを抱いた。地味な作品だが良質な映画と感じた。また、姉妹作である「硫黄島からの手紙」を見てはじめて監督の描きたかったものがより鮮明にわかるような気がした。
16 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
賞賛に値する「実像」,
By
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政治に翻弄され、国家権力の歯車と化した個人が、それでもなお、人間としての尊厳を保つことはできるか。ここまで大きな出来事に直面する人は少ないだろうが、「組織と個人」の問題は、現代を生きる全ての人々に共通して横たわっている。セピア色の淡く仄暗い光に包まれた迫力の戦闘シーンは、スピルバーグの『プライベート・ライアン』や『バンド・オブ・ブラザース』を思わせるが、イーストウッド監督は更に一工夫している。それは敵の描き方だ。敵である日本軍は姿を見せず、アメリカ軍をぎりぎりまで引きつけて、どこからともなく一斉に砲撃・銃撃を開始する。この「見えない敵」の無気味さが実に巧みに描かれており、恐怖感を増幅している。恐怖に駆られ撃ちまくる米海兵隊の動揺ぶりも上手く表現されていた。 弾雨飛び交う戦場からアメリカ本国に戻ってきたブラッドリーが、照明を浴びたり祝砲を聞く度に、硫黄島での惨劇を思い出すという、時間軸を行き来する演出(フラッシュバック)も、効果的であった(スポットライト→照明弾、祝砲→実弾による砲撃、という連想)。復員兵の心の傷はそれほどまでに深い。 凄惨な戦闘は国民に伏せられ、星条旗を擂鉢山の頂上に掲げるという、それ自体は何ということはない行為が英雄的活躍としてもて囃されるという皮肉。星条旗を立てた6人は、本当は「英雄」でも何でもなく、アメリカが戦争を継続するために「英雄」を作り上げたにすぎなかった。しかし、弾を避けていただけなのに英雄として祭り上げられたことに苦悩し、戦友の死に涙するアイラ・ヘイズは英雄ではなくとも、誠実で心優しい青年だったことは間違いない。自分が負傷しながらも、戦場で這いずりまわって戦友の治療にあたった衛生兵(ドク)のジョン・ブラッドリーは、偉大な凡人であった。生き残ったこと、英雄視されることへの後ろめたさを感じていないかに見えるレイニー・ギャグノンでさえも、硫黄島で共に地獄の苦しみを味わった仲間たちとの絆を強く意識していた。 いわゆる「英雄」ではなくとも、彼らはやはり讃えられるべき存在だ。余韻を残す美しいラスト・シーンも見事。 スタッフ・ロールで映し出される、実際の戦場写真は、この物語が真実の記録であり、硫黄島が本当に阿鼻叫喚の地獄であったこと、矛盾を感じつつも祖国に命を捧げた無名の勇士たちが無数に存在したことを、我々に改めて教えてくれる。
41 人中、36人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
アメリカ人,
By
レビュー対象商品: 父親たちの星条旗 (特別版) [DVD] (DVD)
無理に感動させようと作られた作品ではないので涙こそ出ませんでしたが(中には涙を流した方もいるでしょうが)、そこに意味があると思います。クリント・イーストウッドはアメリカ人なのに、これまでの一般的な戦争映画とちがってアメリカ人をヒーローとして撮っていません。 戦った男たちは"ただその辺に暮らしていた男"であって、なにも特別な人ではなかった。 そこを全面に出していて、ヒーローに祭り上げられた人達の苦悩がうまく描かれていると思いました。 物語は淡々と進みますが、見終わった後はしばらく放心になり、それから戦争について考えました。考える事が大事なんだと思います。 これをみた後は硫黄島からの手紙も見てください。
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