高山文彦著「父を葬る」故郷が九州の高千穂にある著者が東京との間を、父の看病のために行き来したり、長期滞在したりします。
【60代の終わりからアルツハイマー型認知症を抱えるようになった父…母が病院へ連れて行ったら、首の左側の付け根に小石大のしこりができ…頭にも3か所腫瘍、腸にポリープ、C型肝炎などを抱えているとの診断。…あんたにはカネのことで苦労をかけるけど、しょうがないわね、長男だから…母が東京の息子へ電話で報告したときの言葉です。
父を看取るまでのたいへんな体験と、肉親の情が、高千穂の自然を背景にうまく織りなされました。父を亡くした後の母は、骨を墓に入れたがらずに1年も一緒に暮らす。そして最後には二上山で散骨をします。
【死なれてみれば、血と肉はいままでなかったもののようにきれいさっぱり消え失せて、残された言葉だけが涼しげに立っている】と。