テレビのある音楽番組で、毎週拝見していた檀ふみさんは、明るく知的で、気さくでいつもユーモアを忘れない方という印象でした。この本にも、そのままのふみさんがいます。女優さんなのに気取らない、でもあけすけすぎないバランスのよさ。檀さんのお家が古い家だということは知ってたけど、父・檀一雄が思いきりよく、つぎはぎにしたのがここまでとは・・・。雨漏りに困らされ、段差に悩み、夏の暑さにも冬の寒さにも耐えて、それでも思い出とともにある諸々のものへの愛着は何ものにも代え難いという気持ちが、よく伝わってきます。「縁側」の話には、うなずかざるを得ませんでした。近所づきあいが頻繁にあった時代は、上がるまでもないけど、ちょっと話を・・・という時に縁側に腰掛けてしたものです。うちの実家にも、いつもカーテンが閉められたまま、今は用無しになってしまった縁側があります。田舎でさえ、そんなつきあいがなくなったということか、と思いを馳せてちょっと寂しくなりました。「家」に人が暮らすとはどういうことなのか、自分が育った「家」とは何だったのか、檀さんらしい言葉で綴られたこの本は、私の中にもそれを喚起させてくれました。また、父・檀一雄の思い出話も興味深く、奔放で無頼という印象が強い檀一雄氏の、しつけ(教育)のあり方など感心してしまいました。