ものすごく暗い半生記だという話を聞いたので、読んでみた。
愕然とする。とりあえず、なんでも悪く考えてみるのである。とても『天国にいちばん近い島』を書いた人と同じ人物の作品とは思えない。
しかも他の本ですでに書かれているエピソードが繰り返し書かれている部分が多いのだが、印象だけは一段暗くなっているのだ。
森村桂は、晩年、急激に売れなくなったというが、わたしはそれを、海外旅行が珍しくなくなった、外国の食品が珍しくなくなった、など、時代の変化によるものだと思っていた。
違うのである。この、作風の急激な変化によるものだったのだ。
これでは、誰も彼女の本を買わないだろう。だからこの本は文庫になっていない。
彼女の母親も、病気を恐れることで、急激に人格が変化したというが(しかし夫の死後も、娘の自殺後も健在であったそうだ)、彼女もその手の鬱化しやすい形質を持っていたものと考えられる。
早く適切な治療を家族や周りの人間が受けさせるべきであったと思われる。