著者が、城山氏の著書の熱心な読者でないこともあり、作品やその基礎となる取材について書かれているわけではないので、作品の裏側を知りたいファンにとっては、不満も残る内容とも言えるが、人としての城山夫婦の温かみは充分伝わる内容だった。
エッセイなどでも、城山氏の動物好きな側面は知られているが、家族から見る私生活での1面や、夫婦ともに逝ってしまうまでが書かれた部分は、少しレトロな家族を舞台にした小説や『サザエさん』を思わせた。
著者とは異なり、城山作品の読者であった息子が書けば、城山氏の仕事の功績に眼を向け、前述のようなファンも満足する文章になったであろうから、それも加えての2部構成であれば更に良かったのではなかろうか。