通訳養成学校で勉強している者です.以前からこの著者の本については一言いいたかった.この本の他にも,いわゆる日本人英語の細かなミスをあげつらって嘲笑する内容の本を多数書かれてますが,真に受けない方がいいし,英語を話したいと頑張っておられる方にはむしろマイナスと考えます.
例えば「cut the cheeseというと「おならをする」という意味になる」というのが出てきます(そんなことはちょっと英語ができる人なら誰でも知ってますが).「チーズを切ったよ,と言いたいならcutではなくsliceでないとおかしい」と書かれてますが,目の前にチーズがあるような状況でcut the cheeseと言って,そのような受け取り方を本気でする人がいるとしたら,よほど嫌味な人間なのでは?第一こういう隠喩は日本語にもあります(たとえば「船をこぐ」とか).言葉というのは文脈で判断するのが普通で,文脈からありそうもない意味にわざわざ受け取る人は相当ひねくれてます.
間違いと言えない,普通に使われているフレーズまで,「死語」「古語のような表現」と解説されています.確かにDo you have the time?の方が自然だろうし私も使うけれど,What time is it?も普通に言いますし,これを「間違いだ」などというのは極端すぎます.名前を聞くとき,確かに自分なら You would be...? などと言うでしょうが,what's your name, again? とかも普通に使うはずです.
中には知っておいた方がいい知識も含まれているかもしれませんが,別にネイティブに対しても(ノンネイティブの英語を笑ってやろうと待ち構えているような人間を除く)普通に使用して問題ない(意図は間違いなく伝わるし相手を不快にさせるわけでもない,しかしネイティブなら違う表現を使う人の方が多い)ような表現まで「間違い」などと言われてしまっては,じゃあノンネイティブは一生英語を話すなというのか,と言いたくなります.
「ネイティブはそんな言い方はしない」などというと,ほとんどの日本人はそのまま信じてしまいます.この著者は,そんな日本人を食い物にして金儲けのネタにしているだけなんじゃないのか,とさえ思います.英語をある程度しっかり勉強している人,ネイティブと日々コミュニケーションの機会がある人なら,この著者の言っていることが(全てではありませんが)間違いだったり極論だったりするのはすぐわかると思うのですが,英語初心者は真に受けてしまい,委縮してしまって英語への意欲を失ってしまうかもしれません.