「女性」が主人公だけど、男の自分も共感できた。男性だって怜子と同じ感情を持つし、女性だって耕一郎と同じ感覚を持つこともある。
また、「失恋」がモチーフになってるけど、仕事や友人関係でも同様な感情は芽生える。
この小説のテーマは「理不尽」なのだと自分は受け止めた。
人間は幸福に対しては理由をさほど求めない。「偶然の出会い」とか「幸運に恵まれて」で済ませることができる。しかし、不幸に対しては徹底的に理由を探してしまう。でも、理不尽とは結局は「自分にとって合理性がない」だけで、周囲はそれを気に留めることはない。
耕一郎は「合理の対極」で描かれていて非常に上手いと思った。別れの理由は最後まではっきりしない。人間の思考は所詮合理的ではない。だから、恋愛も仕事(組織の人間関係)も理不尽の山積みだ。そうだと分かっていても、自分にとっての合理を求めてしまう。だから、傷つく。でも、結局は自分で時間をかけて消化するしかない。
話の大部分を占める激しさに比べて、最後の部分はあっさりしてるという人もいるが、私はそこが好きだ。「憑き物が落ちる」きっかけが訪れるのだろう。
「いつだって、人生は『こんなはずじゃなかった』との戦いだ」
小説の最後の方で、立ち直り始めた怜子が心のなかでそうつぶやく場面がある。その言葉が、今の自分を元気づけてくれた。