こういう読み方は正しくないのかもしれないが、憂鬱なときにぱらぱらと読んでいるとなんだかとてもホッとする作品。全体的に非常に重い不安感に包まれているが、それも含めて私にはぴったりくる(変な表現だが)。
散文詩といったら違うだろうけれども、ともかく筋の捕まえにくい作品だから、ストーリーの面白さを重視する人にはあまりお勧めできない。けれども、この作品の世界の核にいる、静止的、安定的世界を象徴しているような依頼人の女性の魅力。不安から彼女に引きよせられながらも、そこから抜け出して「自分の選んだ世界」を手に入れなければならないと自覚する主人公への共感、等々。とても自分にとって切実なテーマだとかイメージに満たされているような気がして、私は好きだ。