主人公は日本人、カズマサ・イシマルの頭のまわりを惑星のように飛んでいる球体。そのおかげでイシマルはブラジルで便利なプラスチック資源を発見する。これをめぐって、三本腕のアメリカ人事業家、乳房が三つある鳥類学者、鳥の羽健康法、飛び交う伝書鳩、といった趣でドタバタしていくという、著者によるとそういうソープオペラだそうだ。ぼくはドタバタと一気に読んでしまった。
ヤマシタは日本の新聞社のインタビューに答えて、マジックリアリズムなんてない、あれは中南米では現実だ、と言う。まあたしかに、最近でもエクアドルとペルーの国境で金をめぐって争っているし、そこでは原住民不在だ。また、マイノリティー作家と言われることに対しても、そういう区分けは意味がない。トニ・モリスンやエイミ・タンなどと同じアメリカの作家だとしている。
エコロジカル・ファンタジーというよりも、商売をめぐる人間のおまぬけさが、けっこうシビアに笑える本だ。