表題作の「熱帯夜」、その他に「あげくの果て」、「最後の言い訳」と3つの短編集が収録されており、どれも一風変わった世界観を表現していておもしろかった。個人的には「あげくの果て」と「最後の言い訳」が楽しめた。
「あげくの果て」は高齢化社会の行き着いた先として高齢者徴兵制度が導入された世界での物語。高齢者虐待反対グループ「ギン」のテロと民族若化運動を進める「青い旅団」との衝突など、ブラックジョークが利いていておもしろかった。
「最後の言い訳」は、蘇生者保護法という法律の元、心臓が動いていない状態で生き続けるいわゆる「ゾンビ」が社会に浸透し日常化する話で、現在市役所に勤める主人公が小学五年生のときのことを回想しながら展開されていく。小学生時代から「自分は太っているから」とか「暴力は苦手だから」とか、様々な言い訳をしていた主人公が放つ最後の言い訳は痛快だった。また、文中のところどころでゾンビ化する社会の様子を報道するニュースは最近日本で起こったニュースを皮肉っていて楽しめた。