純文学の分野で賞をもらうためには、こんなにもごてごてと飾った文章を書かなければならないのかなと思わせてくれる、ため息の出るような作品です。まあ確かに、情景を鮮やかに読者の脳裏によみがえらせることは容易になるようです。そうはいっても、リアルタイムで登場する舞台は真夏の砂浜とリゾートホテルの2つだけです。
ラストシーンをはじめとして、めまぐるしく移ろいゆく主人公の心の動きには、なかなか付いていけません。小学生時の従姉との想い出、直前の中年男性との不倫などもかわるがわる回想されるようですが、その評価さえも刻々変わっていく感じがします。
同性愛の話も出てきますが、あくまで個人の問題として扱われます。たまにはこんな社会性のかけらもない小説を読むのもいいかなと思いました。
あと、どうでもいいことですが、主人公のヘビースモーカーぶりには、少々辟易させられました。