山で生業を続けてきた日本人の、技術と魂の記録である。
苛酷な環境の中で、先人たちはどのように木を切り加工し、
あるいは獣や魚を採ってきたか、
古代から続く技術と知恵の集積が分かりやすく紹介されている。
この筆者渾身の作。
それにしても山に生きる人々の、
なんと猛々しく、そして逞しいことか。
巨木の癖を見抜いて、正確に板を切り出す技術。
1トンもある丸太を、人力だけで山から下ろす力。
熊や鹿などを冷静に倒し、その場で解体し、
その生き血までをも食べて生き抜く逞しさ。
すべて、少し前の先人たちの持っていた力である。
しかし、彼らに明るい光が当たることはなく、
むしろ常民とは別の場所で、ひっそりと生きていた。
ノスタルジーといったヤワな心持ちからではなく、
現代をぬくぬく生きる人間どもとはあまりに違う力強さに、
読みながら心が震え続ける。