ファンには物足りないということでしょうか?全体的に評価は低いようですが、個人的には好きな作品です。
荒削り、冗長、どちらも当てはまる部分もありますが、アーヴィングの原石、とでも表現したい魅力がそこかしこに散らばっています。アーヴィングファンなら読んで損はないです。
お話は三部構成。
落ちこぼれ学生のグラフが、破天荒なジギーと出会い、気ままなバイク旅行に出かけます。ジギーのとんでもなさにちょっと付き合いきれなくなったあたりで、突然彼がこの世を去ってしまうまでが第一部。
第二部はジギーの残したノートの記録。主旨のよくわからない動物園偵察の様子と、ジギーの家族の歴史が交互に語られます。
正直、かなり冗長です。初めて読んだ時は斜め読みしてしまいましたが、読み返すうち、この章が一番噛み応えがあると思うようになりました。
ジギーの家族は、戦争とその後の時代に一人また一人と奇妙な消え方をしていき、最後に幼いジギーと同居人エルンストだけが残されます。
彼らが体現しているのは「生き残るということ」。この、後のアーヴィング作品でも繰り返し取り上げられるテーマが、この物語でもキーワードとなっています。
第三章ではグラフが、ジギーが計画し果たせなかった動物園開放を決行します。ところが世間は想像以上に厳しく、自由になった動物たちは・・。
荒っぽい落ちですが、そこはアーヴィング。ネガティブな終わり方ではないです。
原著、邦訳共に読みましたが、村上春樹氏の訳は原文をよく活かしていて、それでいて春樹流で読みやすく、うまいものだなと感心しました。