友達に指摘されてなるほどと頷いたのだけれど、「熊の場所」は村上春樹「七番目の男」の話と酷似している。「七番目の男」において、恐怖の対象は“波”であったけれど、物語の最後、語り手である主人公は恐怖を覚えた波打つ海岸にてそれを克服する。そして「しかしなによりも怖いのは、その恐怖に背中を向け、目を閉じてしまうことです。」と結論付ける。明らかに「熊の場所」にて語られる父の体験談「恐怖を消し去るには、その源の場所に、すぐ戻らねばならない」に酷似している。「七番目の男」は約四十年もの間、恐怖に苦しみ続けることになった。だから、「すぐ戻らねばならない」のだ。
さて、舞城王太郎は村上春樹に影響を受けている「春樹チルドレン」の一人であると言われているが、それを踏まえたうえでこの物語を考えてみると、お父さん=村上春樹、“熊の場所”の話=“七番目の男”の話と捉えることができる。そして、そんな父の体験談を思い出し、それを教訓として恐怖を克服するために頑張る少年・沢チン=春樹チルドレンな舞城王太郎の話、と言う図式が浮かび上がるように思える。つまりこの「熊の場所」は村上春樹へのトリビュートとでも言える作品なんじゃないかなあ、と思った。どうでしょう?ちなみに、確証はありません。ごめんなさい。笑(「バット男」「ピコーン!」についても書きたかったのですが字数の関係で割愛しました。)